精神的ストレス
「心と身体はつながっている」
そう耳にしたことがある人もいらっしゃると思います。
「心」、つまり「精神」と「身体」を分けて考える人も多いですが、決して別物ではありません。
実際に、「仕事でプレッシャーを感じると、なぜか昔痛めた腰がうずく」「人間関係でイライラしていると、肩こりや頭痛がひどくなる」といった経験をされる方もいらっしゃいます。
分かりやすい例が、「ストレスを感じると胃に穴が開く(胃潰瘍)」です。
何らかのストレスによって、胃壁が守られなくなり、自分の胃酸によって胃が傷ついてしまう現象ですが、これは胃に限った話ではありません。
「腸」もそうで、潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群などが挙げられますが、消化器系だけでもなく、ストレスがかかると、血尿が出るという人もいます。(腎臓や膀胱などの影響)
そして、これは内臓に限った話ではなく、精神的ストレスによって円形脱毛症になってしまう、蕁麻疹が出る、つまり体表に症状が出る方もいらっしゃいます。
ですから、ストレスによって「腰痛になる」、「肩こりになる」といったことも不思議なことでもなく、当然のようにあることなのです。
「腰痛だけは、椎間板の問題です。骨の形状の問題です。筋肉の問題です。」そう言う方がおかしいことなのではないかと当院は考えます。
この記事で分かること
上記のようなことから、脳と自律神経の仕組みから、精神的ストレスがどのようにして本物の「肉体的な痛み」を作り出すのか、その原因と当院の考えなどを解説してまいります。
なぜ精神的ストレスで身体まで影響が及ぶのか?精神的ストレスの正体
精神的ストレス(不安、プレッシャー、怒り、悲しみなど)を受けると、脳の中でも特に
●大脳辺縁系
●扁桃体
が重要な役割を果たします。
特に偏桃体は、
- 危険か安全かを判断する
- 恐怖や不安を感じる
- ストレス刺激を素早く検知する
といった働きを持っています。
ストレスを感じると、偏桃体が反応し、その情報が「視床下部」に伝わります。
すると、
- 交感神経の活性化
- アドレナリン分泌
- コルチゾール分泌
などが起こり、「戦うか逃げるか(Fight or Flight)」の反応が始まります。
精神的ストレスは主に扁桃体で危険信号として評価され、大脳辺縁系全体で情動処理が行われると言われています。
交感神経が優位になった結果、筋肉が過度に緊張したり、血流が低下したりといったことが起こり、身体にも影響が出始めます。
痛みの三要素の一つ ~心理社会的要因~
横浜市立大学付属市民総合医療センターペインクリニックの北原先生が発信されていますが、痛みの三要素
- 侵害受容性
- 神経障害性
- 心理社会的要因
があり、心と体を切り離す考え方が慢性疼痛の理解を妨げていると指摘し、実際には全ての痛みがこれらが混ざり合った混合性疼痛であることを強調しています。
●侵害受容性疼痛
健常な組織を損傷するか、損傷する危険性を持つ刺激が加わったために生じる痛み、いわゆる「普通に感じる痛み」をとも言われます。
●神経障害性疼痛
体性感覚神経系の病変や疾患によって引き起こされる痛み、つまり、いわゆる「神経痛」と言われるものです。
そして、今回のテーマとつながって来る
●心理社会的要因
心理社会的要因とは、具体的には職場環境、家族関係、収入、訴訟の有無、抑鬱状態などの要素を指します。
慢性的な痛みは、最初は身体的な問題であったとしても、次第に心理的な影響、そして社会的な影響へと大きく広がっていきます。
このように影響が拡大した状況では、単に痛みの原因箇所を治療するだけでは、元の状態に戻ることは難しくなります。
画像をWEBからお借りしましたが、様々な要素が痛みとつながっていることが分かります。
例えば、「過労」から、どこかに「痛み」が生じたとしましょう。
どこかの病院に通院しなければならないとして、通院で時間を取られたり、痛みによって仕事への集中力が低下したとします。
理解のある職場なら良いですが、単に仕事ができないと判断されると、段々と仕事を振られなくなりますよね。
お給料だって思うように上がらない状態になるかもしれません。長時間勤務を強いられるかもしれません。
帰りが遅くなったり、家でイライラしたりしていると、家庭も上手く行かなくなるかもしれません。
仕事でもストレスを抱えているのに、家庭でもストレスを抱えてしまうかもしれません。
それがさらに痛みを強くしてしまうかもしれません。
このようなことが起こるというのが、添付した図の解説です。
特に「慢性的な痛み」は、最初は身体的な問題であったとしても、次第に心理的な影響、そして社会的な影響へと大きく広がっていきます。
このように影響が拡大した状況では、単に痛みの原因箇所を治療するだけでは、元の状態に戻ることは難しくなります。
脳と痛みの関係:精神的ストレスが痛みを増幅させるメカニズム
心理社会的要因が痛みと関係していることはご理解いただけたかと思いますが、では実際に「精神的ストレス」がどのように身体に影響を及ぼすかを考えていきましょう。
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脳(扁桃体)の警戒アラート: 精神的ストレスを受けると、脳が「危険状態」と判断する。
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交感神経の過緊張: 自律神経のスイッチが交感神経優位になり、血管が収縮する。
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筋肉の酸素不足: 血流が低下することで筋肉に酸素が行き渡らなくなり、硬く縮み(スパズム)、発痛物質(プロスタグランジンやブラジキニンなど)が放出される。
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痛みのブレーキ(下降性抑制系)の破壊: 本来、脳が持っている「痛みを和らげるブレーキシステム(下降性抑制系)」がストレスによって正常に働かなくなり、普段なら感じない微小な刺激まで「痛み」として受け取り、それが脳に伝わってしまう。
一病多因:ストレスそのものをゼロにできなくても、痛みは変えられる
ここまで「精神的ストレス」がいかに身体に影響を及ぼすかを考察してきましたが、「精神的ストレスが原因なら、ストレスのない環境に行かなければ治らないのか」というと、決してそんなことはありません。
現代社会でストレスを完全にゼロにするのは不可能です。
世の中には「ストレスを減らす方法」などが溢れており、「ストレス=減らすべきもの」と認識されておりますが、極端に言えば「暑い・寒い」も人間にとってはストレスになってしまいます。
それを減らそうとするのは、無理に近いことかと思います。
人間の思考は、以前は一日6万回以上の思考と言われていましたが、近年の脳科学研究では約6,000回前後と推定されています。
脳は危険を察知するため、ネガティブな情報に注意が向きやすい性質があります。
ですから、普通に生活していてもポジティブなことよりも、ネガティブなことに意識が向きやすいということです。
であるなら、一日の中の思考の数は変えられないので、その中の割合を変化させることはできるかもしれません。
できるだけ、ポジティブな方へ思考が向くようにするだけで、相対的にストレスを減らせるかもしれません。
そして、精神的ストレスが減らせないなら、その分、日常の姿勢や骨格の歪みといった「身体的ストレス」を減らすことも有効な手段かもしれません。
まとめ
ここまで「精神的ストレス」が身体へ及ぼす影響について書いて参りましたが、あなたの痛みが長引いていたのは、心が弱いからでも気のせいでもなく、脳と自律神経が一生懸命あなたを守ろうとしていた結果かもしれません。
“身体的ストレス”と”精神的ストレス”を分けて考えるというより、身体に痛みが出れば、気分的にも憂鬱になるでしょう。
反対に、何か精神的ストレスを受けて、胃が痛くなるといった反応だってあるかもしれません。
当院は「一病多因」、つまり一つの症状に対し、一つの原因ではない、いくつも原因が重なっていると考えています。
- 身体的ストレス
- 精神的ストレス
- 科学的ストレス
- 筋力低下
- 認知の歪み
- 食事・栄養
「もう子の不調とは付き合っていくしかない」と諦める必要はありません。
きっと、回復への道はあるはずです。
身体のバランスを整え、少しでも不調が改善されたとしたら、精神的ストレスも変化が起こるかもしれません。
あなたが痛みや症状に振り回されることなく、やりたいことをやりたい時にできるよう、精一杯お役に立てればと考えております。
当院では、丁寧なカウンセリングと全身のバランス分析を行い、あなただけの「不調の原因」を一緒に考えます。 ぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人
中野 貴博(なかの たかひろ)
横浜市中区の整体 よこはま山手治療院 院長 あん摩マッサージ指圧師
当院のコンセプトである「痛みや症状に振り回されることなく、やりたいことをやりたい時にできる身体作りを目指すこと」を患者さんに体現していただくため、日々活動しています。
昭和54年8月20日生 石川県金沢市出身(横浜在住20年ほど)
血液型O型
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